鯉魚門で潮風にあたる

香港島・西灣河は古い香港映画好きには聖地のような香港電影資料館がある場所。特集上映があると週末にはここへ通い1日に2・3本見ることになるが、過ごしやすい季節には映画館にこもっているのがもったいなくなって、時々映画をエスケープしていた。
西灣河からふらっと散歩に行く場所は何か所かあるが、たまにフェリーに乗って対岸の三家村というところに行っていた。聞き慣れない地名だが、鯉魚門(れいゆうむん)といえば知っている人も多いだろう。
香港島の西灣河から東隣の筲箕湾にかけてと対岸の鯉魚門の間の海はとても狭くなっていて、外海とビクトリア湾を隔てるこの海峡を鯉魚門と呼んだことが地名の始まりだという。
鯉魚門は海鮮料理を食べる場所として有名だが、私がここで海鮮を食べたのは10年住んでいてたったの1回だけ(笑)。いつもはふらっとひとりでただ散歩に行くだけ。散歩コースはいたって簡単。ただただ三家村(つまり鯉魚門)の路地を進んでいくだけだ。
魚を売る水槽や海鮮を食べさせるレストランが並んだ細い通りをどんどん進んでいくと、視界がひらけてくる。道なりに左の方に折れて進んでいくと海に突き出たように天后廟がある。その天后廟の左側を回ってさらにどんどん進んでいくと家は無くなり岩場になり、道もあるのかないのかといった感じになる。釣り人が岩に登って釣りをしていたりする(写真)。そんな風景をなんとなく眺めて潮風にあたる。それだけ。
先ほど道なりにまがった所からあまり綺麗ではない砂浜を海の方へ歩いて行くと、意外と水は綺麗で、やはり釣りをしている人がいたりする。実はここは夕暮れの絶景スポット。ビクトリア湾の向こうに沈む夕陽に釣り人のシルエットが浮かび上がったりする写真スポットでもある。中心地からそれほど遠いわけでもないのに、釣り人と夕陽を見ていると遠出をしてどこかの島の漁村に来たような気持ちになってくる。
陽が沈んで海鮮レストランに客がやってくる頃、小巴に乗って觀塘へ、觀塘からさらに小巴を乗り継いで旺角へと戻ってくると、いつもの賑やかな日常が待っている。


鯉魚門での買い物は、合桃(胡桃)に黒糖や蜂蜜を絡めたものや、雞仔餅、雞蛋卷。合桃で有名なのは紹香園だが、支店が街中にもあるので、やはりここではここにしかない店で合桃を買うことにしよう。


年香園餅家
 鯉魚門海旁道中43D